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(4) これからの情報通信サービス

高速化を進める研究以外に、網自体の機能を高度化する仕組みも研究が進んでいる。ダイヤル信号や、制御信号、課金信号などの通信に必要な信号用の回路(共通線信号網)を介し、ネットワークコンピュータとデータベースコンピュータとがコンビを組んでネットワークの管理にあたるのが、インテリジェントネットワーク(IN)である。INはフリーダイヤルやダイヤルQ2、クレジット通信、三者通話、音声メール、自動転送電話などの他、移動体通信の位置情報の記憶や基地局の指定を行うなど、将来のパーソナル通信サービスを可能にする技術である。

パーソナル通信サービスは、使用者本人を特定し世界のどこに住んでも同じ番号で電話をかけることができたり、家でも外出先でもどこにいても最寄りの電話を呼んだり、他人の電話を使用しても請求は使用者の契約番号に届くというサービスである。つまり呼ばれた人がどこに居り、呼んだ人が誰であるかを識別しながらサービスを提供するシステムである。このシステムは FPLMTS*10と呼ばれ国際標準化が進められているが、固定と移動の別なく全てのネットワークと相互接続する技術や国際間で異なるシステムの統一が必要なため、次善の策としてICカードや端末そのものを持ち運ぶ方式も考案されている。

また、高齢化社会が進展する中で、高齢者や身体障害者が情報弱者とならない環境整備も必要である。1996年にとりまとめられた郵政省の「高齢者・身体障害者の社会参加支援のための情報通信の在り方に関する調査研究会」報告書では、共生型情報社会の実現のため、使いやすい機器の開発や仕様の統一、通信料金の低廉化、教育機会の充実などを提言している。ネットワークを利用したボランティア組織も育ちつつある。1995年の郵政研究所の調査では、聾唖連のパソコン等所有率は51.5%、盲人会44.7%、日身連37.7%、全難聴34.0%と一般の19.7%と較べて相当高い。しかし、一般メディアでの障害者向け情報の不足を補完する手段として電子メールやフォーラムを利用する場合が多く、コミュニケーションの相手は限定されている。字幕放送や手話放送、解説放送などの他にCSを利用した専門チャンネルの配信や声で操作のできる機器の開発などが今後に期待される。


*10 Future Public Land Mobile Telecommunication Systems。将来の公衆陸上移動通信システム。

 

 

 

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